住まいへのこだわり

限られたスペースに、限られた予算。その中でいかに効率的で快適なわがやをつくるのか、設計当時は頭を悩ませたものです。そういった様々な制約により、いろいろな妥協を強いられることも多々ありましたが、快適で心地よい空間になっています。子供たちが生まれて、家族が増えて、生活スタイルも随分と変わりましたが、ベースとなる快適さはそのまま変わっていません。

ここでは、そんなわがやの快適ポイントをいくつかご紹介します。また、こうすればよかった、というわがやの反省点もご紹介します。我が家をお考えの皆さんの少しでもご参考になればと思います。

目 次

  1. らせん階段
  2. ガラスブロック
  3. 箱階段
  4. メラミン化粧板のダイニングテーブル
  5. 無垢の1枚板のダイニングテーブル
  6. 照明器具
  7. キッチン周りの収納テクニック
  8. 勉強部屋を作るためのリフォーム
  9. ツインバードのトースター
  10. ペンギン&シリコンお玉
  11. アルミのフライパン
  12. ミル
  13. コートハンガー

らせん階段

異なるフロアをつなぐ階段。設計をしていて思うのは、その階段の占める面積が意外と馬鹿にならない、ということ。安全性のこともありますし、法的な制約もあるため極端に小さくすることもできません。

そんな中でも、最も面積効率のよいのが「らせん階段」です。上の写真は、わがやの「らせん階段」。おおよそ直径1.6mの円の中に階段が収まっています。

見えている下の階は玄関です。透過性のある床材を階段の踏み板に使っているので、玄関への見通しを確保できる他、2階からの光が玄関にまで降り注ぎますし、空気も流れるので淀みません。

1階からつながる大きな壁はギャラリーとして活用しています。子供たちの写真を飾ったり、作品を飾ったり、リースを飾ったりして楽しんでいます。

ガラスブロック

わがやの洗面・WCを間仕切る壁は乳白色の「ガラスブロック」。1辺15cm、奥行き6cmの立方体のガラスのキューブを積み上がた壁です。

この「ガラスブロック」、光は透過しますが視線は通しません。だから北側にしか外に面した窓のないわがやの洗面・WCも、この「ガラスブロック」のおかげでいつも明るい空間になっています。東に面しているので、天気の良い朝は特に明るく、さわやかな空間になります。

乳白色なので光が直接指すのではなく、柔らかく拡散された光が部屋中を満たします。

廊下側から見たのが上の写真。乳白色の「ガラスブロック」により、室内側のトイレや洗濯機もまったく見えません。

扉の上のランマ部分はホイトコという金物によって、開閉可能になっていて、脱衣後などに室内にこもった湿気を素早く排気するので、湿気がいつまでも室内にこもることもありません。

箱階段

2階から3階に上がる階段は「箱階段」としています。「箱階段」とは階段に収納棚を組み込んだもの。階段下のスペースを無駄にすることなく、有効に活用できます。

幅75cmの決して大きくはない階段ですが、その下をすべて収納とすることで、わがやの収納のかなりの割合をこの箱階段でまかなえています。端正でリズミカルな印象とするために、収納の扉の大きさは階段の割り付けに合わせて決めています。

下の方には引き出し収納を設け、衣類や小物など、上の方は開き扉を設け、長物や大物を収納しています。また、大きな収納内には棚板を設け、ダボレールにより棚板の位置も自由に変えられるようにしています。

階段を構成する材は「バーチ合板」という合板で、厚さ2.4cmという分厚いものを使用して強度を確保しています。この「バーチ合板」、白っぽい材と茶色の材が交互に積層されていて、断面が面白いのも特徴です。

メラミン化粧板のダイニングテーブル

約16年間使ったわがやのダイニングテーブル。数字の「6」のような形をした特注のテーブルです。丸い部分は家族で取り囲んで食事をし、窓際の直線部分はパソコンやちょっとした作業ができるスタディコーナー的な使い方を想定してのこの形です。丸い部分の直径は1.4mもあり、6人くらいまでなら全然余裕で座れます。

素材はメラミン化粧板。傷や熱に強く、また汚れにくく、汚れてもふき取りやすい、という非常に機能的な材料です。子供たちが小さい頃は、何かをこぼしたり、工作をして汚したり、鉛筆で落書きしたり、なんていうこともよくありますが、そんな時も、あまり気にすることなく、さっと拭くだけで汚れも落ちます。特にこれといったメンテナンスも不要です。

「白」という色にもメリットがあります。とにかく汚れが一目でわかること。だから、テーブルの上が常にきれいに保たれるのです。そして、これだけ面の大きさが大きいと、その色が濃いと少し空間が重くなりますが、白いことで決して重くならずに、明るい印象の空間になります。

そんな愛着一杯のダイニングテーブルですが、いろいろな事情があり、ここで役割を終えることにしました。今まで、このダイニングテーブルで食事をしたり、友達を招いて歓談したり、子供たちと工作したり、絵を描いたり、いろいろなことをしてきましたから、ちょっと寂しい気もします。きちんと感謝をして、さようならをします。

無垢の1枚板のダイニングテーブル

これまではわがやのスタディコーナーのテーブル兼妻のドレッサーとして使っていた無垢の1枚板のテーブル。その使い方がもったいないと思いつつも、メラミン化粧板のダイニングテーブルがあったので、そのままで放置されていました。その間に、汚れが付いたり、水が浸みたり、傷ついたりと、見るも無残な状況になっていましたが、見て見ぬふりをしてごまかしていました。しかし、わがやのリフォームを機に、ダイニングテーブルに昇格することになりました。

素材は「栃」の木。樹齢はおそらく100年以上。縮みあるいはトラ杢と言われる模様が全体的に入っていて、見る角度によっても模様が全然違って見えます。眺めていると、100年以上を生きたこの木のパワーやエネルギーみたいなものを感じるような気がします。元を正すと、本来、別の場所でダイニングテーブルとして使う予定で、知人のつてを頼って破格の安さで購入しましたが、いろいろな経緯があって使われないことになり、しばし放置、となっていました。

ダイニングテーブルへの昇格に際しては、積年の汚れやシミを取り除くために、サンダーを掛けて表層を削り取っていきます。

布やすりの#80から始め、#120、#240と徐々にやすりの目を細かくしていきます。すると、汚れの奥に潜んでいた縮み模様が浮かび上がってきます。

サンダーは近くのホームセンターでレンタル。2泊3日で200円という安さで借りられました。集塵用の袋が付いているので、木くずが想像したよりは飛散しませんでしたが、それでも少なからず飛散します。

そして仕上げのオイルフィニッシュ。オイルを塗っていくと、濡れ色になり木目がはっきりと浮かび上がります。1回塗ったら余分なオイルをふき取り、約1日置いて乾燥させ2回目を塗ります。これを繰り返すこと4回。オイルフィニッシュの完成。

これからこのテーブルがわがやのダイニングテーブルとして活躍してくれます。これからの生活をこのテーブルと共に過ごして、また思い出を刻んでいくことになります。

照明器具

夜の空間で欠かすことのできないのが照明器具。明るさと空間の演出を考える上で非常に重要です。

リビングスペースの照明は、100Wのレフ球2灯をメインに、50Wのレフ球、ミニクリプトン球のフロアスタンドの間接照明、そして手元灯としてフロス社のアルコ、という配置です。広さ約10畳程度ですが、100Wレフ球2灯だけでも結構明るいですが、間接照明で天井面を照らし上げると、部屋全体がふわっと光に包まれて、より明るさを感じることができます。

ダイニング・キッチンスペースの照明は、ダイニングテーブル上にアルコ社のフリスビー、キッチンにミニクリプトン球のダウンライト2灯、手元灯として50Wのレフ球を使用しています。フリスビーは直径約60cmあり、100Wの白熱球を円盤状のシェードで柔らかく拡散してくれるので、ダイニングテーブルの明るさをしっかりと確保してくれます。

ただし、ひとつ難を言えば、円盤状のシェードに結構ほこりが溜まること。ダイニングテーブルの上なので、ほこりは結構気になるところ。まめな清掃が欠かせません。

玄関スペースは、天井面から飛び出したガラスエッジが天井をほのかに照らして、間接照明的な効果を持つミニクリプトン球のダウンライトを2灯のみ。広さ約2畳のスペースには必要にして十分。帰宅して玄関扉を開けると、温かみのある照明が迎えてくれて、ほっと落ち着ける、そんな空間になっています。

洗面・トイレスペースは、壁面に設けたブラケット照明のみ。洗面カウンターの鏡面に設置することで、顔に影を落とすことなく正面から照らしてくれます。そして鏡に反射して部屋中をほんのりと照らしてくれます。

ガラスブロックの壁面にはスイッチが付かないこと、スイッチの入り切りの手間を省けることから、照明のスイッチは人感センサーとしました。これが思いの外、便利です。洗面スペースで脱衣をして入浴していると、一定時間で照明が切れてくれます。でも、お風呂から出ようと、ドアを開けると自動的に照明が点灯するので、濡れた手でスイッチを触ることもなく、また照明を付けっぱなしにする必要もありません。

キッチン周りの収納テクニック

キッチン周りの収納ってなかなか難しいです。特に、大皿や鍋、フライパン、それらの蓋の類は、かさばるだけに収納方法に悩むもの。わがやでも、あれこれと試行錯誤をした末に、100円均一の収納用グッズを活用した現在の収納方法にたどり着きました。

ポイントは「立てて収納」。「立てる」ことで、見やすく、取り出しやすく、片付けやすくなります。

まずは、フライパン類ですが、コンロ下の引き出しに収納しています。100均の収納ボックスに立てて収納することで、どのフライパンもさっと取り出せて便利です。

鍋類はフライパンの横に。土鍋や大鍋など、使用頻度の低い鍋を下に置き、その上に日常的に使う鍋を重ねて置いています。

鍋敷き、カッティングボード、サブのまな板類も、やはり100均収納ボックスに立てて収納。ミトンもその横に立てています。

大皿類もフライパン等と同様に、立てて収納です。ここでも100均ボックスを活用しています。100均ボックスの中に大皿を立てて、皿と皿の間には緩衝材となるシートや紙などを挟み込んで、皿の欠けや割れを防止しています。

立てることで、見やすく、取り出しやすいので、大皿を使うことに気兼ねがありません。

シンク上の吊戸棚って、何を収納するか悩ましいところです。わがやでも試行錯誤の末、100均ボックスを活用した収納になりました。使用頻度がそれほど多くない、ジッパー袋、弁当箱とおかず用カップ、調味料のストック、ビン類、水とう等を100均ボックスに入れて収納すると、見た目もすっきり、ネームタグを貼っておけば何がどこにあるのかも一目瞭然です。

ワークトップ上では、トースターの上の無駄な空間を有効に活用しています。周りの素材に馴染む黒のフレームのラックを置いて、下にトースター、上にフードプロセッサー、ミル、スクイーザーなどを置いています。

勉強部屋を作るためのリフォーム

子供たちの成長に合わせてスタディルームを作ることにしました。今まで子供たちの勉強は、前述のメラミン化粧板のダイニングテーブルで、最近は子供たちのベッドの横に置いた勉強机でやっていましたが、基本的にリビング、ダイニング、キッチン、ベッドスペースがワンルームで仕切りのなかったわがやでは、これから始まる受験勉強はさすがにきついとの判断からスタディコーナーを作ることにしました。

とは言っても、限られたスペースのわがやではそのスペースを捻出するのも一苦労。いろいろと試行錯誤した挙句、今まで書斎兼妻のドレッサーとして使っていたスペースに間仕切りを設置することにしました。大きさとしては約2畳と決して広くはない、と言うかどちらかと言うと「狭い」スペースですが、スタディルーム(その後には再び私の書斎兼趣味部屋?)としてはかえって籠り感があって落ち着くのでは?との思惑もありましたが、なかなか落ち着く、籠れる空間となりました。

レイアウト上、たまたま既存の窓が1枚、室内に来るのですが、その窓以外は壁に囲まれただけの空間では息苦しいと思い、隣接するらせん階段側はポリカーボネートという素材の乳白色のスクリーンとすることで、らせん階段側からの光は取り込みつつ、散らかりがちな室内の様子は見えないようにしました。光は通すが、視線は通さない、というガラスブロックと同じコンセプトです。

また、ポリカーボネートのスクリーンを1cmの厚さの中空層のあるタイプを採用することで遮音性と断熱性を上げて、スタディルームとしての静かさ、空調をしない階段側からの熱負荷のカットをおこない、部屋としての機能を満たすようにしました。

ツインバードのトースター

ステンレスを多用しているわがやのキッチン。そこに置くものは基本的にステンレスか黒にしてコーディネイトしていますが、悩ましいのが家電類。特に日常的に多用するトースターは、なかなかデザイン性に優れたものがありませんが、ツインバードのトースターのデザインは秀逸です。

前面の開閉部分はミラーガラスになっており、周囲のものを映し出し、自らの存在感を消し去っています。本体は黒なので、ステンレスに囲まれると、やはりその存在感は消失します。なので、ほぼ存在感ゼロ。

このデザインが気に入って、今のトースターは2代目になりますが、愛用しています。

ペンギン&シリコンお玉

わがやの料理で欠かせない道具のひとつが、シリコンスクレーパー、通称「ペンギン」と「シリコンお玉」です。料理を盛り付けたり、作ったソースを掛けたり、こねたタネを集めたり、というシーンで、きっちりと「集める」という仕事をこなしてくれるのがこの「ペンギン」と「シリコンお玉」なんです。

特に、重宝しているのが「ペンギン」。鍋やフライパンで作った料理をお皿に盛り付ける時、鍋やフライパンに食材やソースを残すことなく、きれいにお皿に盛り付けることができるので、食材も無駄にすることがなく、かつ鍋やフライパンもきれいになるので洗うのも簡単になる、という一石二鳥の役割をこなしてくれます。

ドレッシングやカルパッチョのソースなどをボウルで作り、食材に掛ける時も、ボウルに余すことなくきっちりと掛け切ることができます。

お皿を洗う際にも、お皿に残ったソースなどをきっちり集めて保存容器に移したりできるので、洗う作業も随分手間が省けます。

もう、「ペンギン」がないと調理作業がはかどらない、という位の存在感になりました。

これを使っちゃうと、もう普通のスプーンやステンレス製のお玉なんか使っていられません。「集める」という仕事が「ペンギン」と「シリコンお玉」が100点だとしたら、これらは50点以下…それくらい違います。

アルミのフライパン

もっぱらパスタを作る時に使っているのが中野アルミ製作所のアルミのフライパンです。アルミ製なのにずっしりと重く、取っ手部分も熱くなるので、普段使っているフッ素加工のフライパンと比べると使い勝手はよくないのですが、何と言っても熱の伝わり方が早く、均一なので料理がしやすいこと。無垢の太く厚いアルミを使っているので堅牢で丈夫なこと。そして、アルミのシルバー色が背景になるため写真映えがよいこと、から重宝しています。

おそらくこのフライパン、100年は軽く使えると思います。子供たちに引き継いでもらって、使い続けてほしいです。

ミル

わがやのミルはもっぱらコーヒー専用。少し前までは家電メーカーのミル一体型のコーヒーメーカーでコーヒーを淹れてましたが、このミルに替えてから、コーヒーの味が一変しました。

コーヒーを挽くときはダイヤルを高速の「2」に合わせて挽くと、きめ細かな粉末状態まで挽くことができます。

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コートハンガー

かさばるコート類の収納は悩ましいものです。冬場は毎日着るものだけに、どこに収納するかで毎日の利便性が変わってきます。クローゼットまで着ていくのも面倒なので、できれば玄関でぱっと着て、ぱっと脱ぎたいもの。

そこで、玄関の壁面にいわゆるダボレールを取り付けて、コート用のハンガーとしています。これだと、床面には何も出ないので、床がすっきりするのに加え、掃除機も自由自在なので常にきれいな状態を保つことができます。

ダボレールなので、ハンガーパイプの位置も変えられますし、棚板の増設もできるので、家族の生活の状況に合わせて調整できるのもうれしいところです。

コートを羽織ったら、振り返ると、姿見で身だしなみチェック。この姿見、実は下足入れの扉です。姿見を兼用することで、スペースを有効に活用すると共に、狭い玄関スペースに広がりをもたらしてくれます。床から天井まであるので、家族4人分の靴やあれこれ小物類の収納量も十分です。

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